◆巨人3―1阪神(10月8日・東京ドーム) 両肩に、これ以上ない重圧がかかった。ラミレスは1度、打席を外して球場内を見渡した。一塁ベンチも、右翼席も祈るような視線を送っていた。「どうしても追加点が欲しい場面だった」ありったけの力でバットを振ると、打球はバックスクリーン右へ飛び込んだ。耳が痛くなるような歓声が沸き上がった。気がつくと、いつもより速くダイヤモンドを一周していた。
4番らしい、最高の仕事だった。1点リードの7回2死。アッチソンのカウント2―1からの真ん中のスライダーは、横浜・村田と並ぶホームランダービートップの43号ソロとなってスタンドに消えた。「信じられない。うれしいです。打った瞬間、入ると思った」じりじりと迫ってくる阪神の戦意を奪うには、十分の当たりだった。原監督も「ここで何とかというところ。リズムが相手に行った後の貴重な本塁打だった」と頼もしい主砲に感謝した。
この日を信じて汗を流してきた。ついに、単独首位に立った。「数か月前のことを思えば、信じられない。ただ、どんなときも下を向かずに準備だけはしてきた」と胸を張った。試合前練習でのフリー打撃では、スパイクを履かずにアップシューズでバットを振った。篠塚打撃コーチは「両足で地面をつかむ感覚を大事にするからね。荒れた土の上でスパイクで立つと、微妙に狂う。と言っても、シーズン最後まで下半身中心の打撃ができるのは、さすが」と舌を巻いた。負けても、結果が出なくても、1年間自分を信じて平常心で練習してきた証明だった。
頭の準備もしてきた。阪神全投手をDVDで研究した。「自分のキャリアの中でも一番大きな試合だった。いい投手が全部来ると思っていたから。もちろん、アッチソンも見たよ」としてやったりだ。試合前の練習では、左中間の看板よりさらに上の照明にぶち当てる推定180メートル弾も見せた。「練習だけね」とおどけたが、その一発に負けない、特大の130メートル弾でチームを勝利に導いた。ヒーローはお立ち台で「絶対に優勝します」と宣言した。もう、誰も止められない。歓喜のゴールまで、突っ走るだけだ。
スポーツ報知
日本人にはできないのかなぁ
PR